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Today's member① : 野藤夏美(海外事業部)

 

 

こんにちは。

FESTの海外事業部に所属しています、野藤夏美と申します。

今回で渡航は4回目、最近はフィリピンに来るたびに「帰ってきたな」と

感じるようになりました。お腹も壊しません。慣れって恐ろしいです。

 

 

今回は私が今フィリピンで取り組んでいる活動と、それを通して感じる

「現地の声を聞く」ということはどういうことなのかについてお話ししたいと思います。

 

 

私は現在、海外事業部の「コミュニティ形成」というプロジェクトに参加しています。

このプロジェクトは私たちが支援しているスラム地区で、日本でいう「自治組織」を作ろうというものです。

支援先が貧困改善に向かって自立するためにはFESTが離れるときが必ず必要になります。

支援は支援される対象がそれに依存してしまっては自立に向かわないからです。

なのでFESTは理念に「完全撤退」を掲げています。

現在支援している地区は、FESTが支援を始めて3年目になるので、撤退までに残されている時間は限られてきています。

最終的には住民の方たちだけで生活をよりよくする自助の機能をもったコミュニティを作りたいとわたしたちは考えています。

 

 

そこで今回の渡航では、住民の「協力関係」が現在どうなっているのか調査することになりました。

現状ある関係性から、こちら側の一方的な考え方押しつけにならずに、

FESTが今後どのようにコミュニティ形成にアプローチすべきなのか探るためです。

内容は隣人同士でどのようなことを助け合って協力をしているのか、その規模はどれくらいなのか、

協力関係の規模を大きくすることに関してどのように考えているのかといったことです。

 

 

しかし、関係性は目に見えないし、人によって捉え方も感じ方も違います。

人間関係にはセンシティブな部分もあるので聞き方やニュアンスの調整に敏感にならなければなりません。

同じスラム内であっても、世帯のまとまり間に目に見えて経済格差があれば、

その人たちの間での関係性に影響を与えることもあるのです。

どういう聞き方をしたら失礼にあたらずに、不快な思いをさせずに調査ができるのか、

毎回メンバーは悩みながら、実際に聞き込みを重ねてそのとき受けた印象や感じたことを共有し合って

日々質問の仕方を変えています。とても大変です。

 

 

わたしは実は、今回の住民の人たちへの聞き込み調査は3回目で、調査がいかに大変か身に染みていましたし、

手さぐりだったノウハウもある程度わかりかけてきた実感がありました。

今回の調査がこれまでのものと大きく異なるのは、「住民の主観」に関しての質問をしていることです。

これまでは家族構成であったり、収入であったり、出身校、学校の成績など数値化できるものや客観的なデータを

調査することが主で、「関係性」といった住民の人たちの主観に焦点を当てた調査をあまりしてきていませんでした。

支援をするにあたっての調査では、主観に関して聞く質問はタブーとされることもあります。

主観にはその人のバイアスや考え方の偏りを含むことがあるので事実質問を重ねる方が堅実だという意見もあります。

 

 

しかし、わたしは今回住民の主観に関する調査をしてみて、これこそ大切なのではないかなと思いました。

本当にその人のためになる支援をしたいと思うなら、その人の考え方を知ってその人の目線に立って見なければならないことが

あると思うからです。むしろ支援そのものが、現地に寄り添うものであるならば、住民の人たちの考え方を知らずしてできるものではないと思います。

たとえそれにバイアスが含まれている懸念があったとしても、それごと受け入れて支援する姿勢がなければ結局は現地のニーズに合うものではなくなってしまうのです。

そしてこの調査ができるのは、FESTが現地に入るようになって3年目になるこの時期だからこそなのだと思います。

ある程度の信頼関係がなければ人間関係の調査はできないと思うからです。

 

 

調査を始めてまだ3日目ですが、残された日々も、先輩方が築き、今も続く支援地との関係性と信頼関係に感謝して、

また、住民の人たちの考えを生の声で聞ける機会と寄せられる信頼を肌で感じながら活動していきたいと思います。

 

 

 

 

海外事業部

野藤夏美

 

 

8月24日(Sat

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