
みんなの”知りたい”を叶えたい。
This
month's
interview
一方的に押し付けるのではなく,
積極的に吸収したいと
言っている人たちと
未来に繋がるアクションを。
NPO法人 プルメリア
現地セブ島NGO代表
濱野真道様

今回取材に協力していただいたプルメリア様とは…
NPOプルメリアというのは、セブ島で10年近く教育支援に関わるNGO活動をしてきた濱野氏に共感した
里親や支援者の皆さんが、本当に純粋な気持ちから日本側で現地活動のサポートをする為に設立した特定非営利活動法人です。
奨学金制度/教育支援、現地学生への進路・生活指導、日比間の民間レベルでの双方向での国際協力の推進などの活動を行って
おられます。
(http://www.cebu-plumeria.jp/)より
奨学金制度を行うことになったきっかけや始めようと思った理由は?
実は、奨学金制度を立ち上げたのは僕ではないんですね。僕はその以前にあったシステムに乗っかっただけなんです。
じゃあ、なんでそんなことが起こったのか、これは聞いた話なんですけれども、当初、僕がその関わったNGOは、フィリピンの身体障害者の方々、貧困層の、日々寝たきりの状態になってて車いすもなけりゃ松葉づえもない、で動きが取れない。そういう人たちに車椅子や松葉杖を寄付をしていこうという活動から始まったNGOだったんです。
実は、僕が入った時点で奨学金制度っていうは出来上がってた。なぜかっていうと、もともとそこの団体の代表っていうのが、ネグロス島とかで車いすの寄付だとかなんとかを中心にやっていて、そこでたまたまセブで工場を持ってる会社の社長と出会って、意気投合したんですよね。(セブの会社の社長が)あんたえらいことやってるじゃないかって、その団体の代表にアプローチして。それで、その会社の社長がセブに工場を持ってるということが縁で、僕がもともとお世話になってた、そのNGOの代表が、じゃあセブでもそういう活動をしたいと。
ところが、そのセブで工場を経営してた日本人の社長(オーナー)が、セブで工場を運営してるなかで障害者に対してそうした慈善的なことをするのもいいんだけれども、それをしても未来に繋がらないじゃないかと。で、やっぱりセブで工場やって、社員を雇ってて感じるのは、「教育」の必要性。
これがないと具合が悪いと。だから、教育支援ってことだったら自分も協力するんでやっていこうじゃないかっていう話になったところから始まったのが、奨学金制度だったんですね。
ところが、その時にスタートした活動を奨学金制度っていう言い方をするとちょっと具合が悪くって、その当時はどっちかっていうと物資を中心にやったんですね。例えば、文房具が全然足りない。じゃあ、そういうのを入れていこうじゃないか。しかしその時点では、対象者っていうのが全然絞られていなくて、要は、貧困家庭だったらどんなところでもいいからそういうのをどんどん入れていきましょうって話になってやっていました。そのうち地元の新聞社、サンスターと結びついて、サンスターから推薦してきた、今でいうところのscholar、奨学生、奨学金を受け取っている生徒って意味の奨学生なんですけれど、それの募集を始めた。

しかし、そこでまたやってたことっていうのが、今みたいにお金を入れるってことじゃなくて、どっちかっていうと物資だったんですね。あるいは、学校のほうでいくら使いましたっていう領収書みたいなのを持ってきて、それに対して返金をするとか、そういう結構ややこしいシステムでやってた。そういうなかで僕がこっちに入ってきて、現地でずっと様子をみてて、「あ、具合が悪い」ってのがいっぱい出てきたんですね。何かっていうと、まず誰を対象にしてるのか、非常に曖昧だった。要は成績が良かろうが悪かろうが、サンスターあたりから紹介された子供たちについた子を無条件で入れてた。ところが、ずっと追跡調査してみると、せっかくそういう支援を入れてるにも関わらず、何年も留年してたりだとか、っていう実態が見えてきた。じゃあ、なんで留年するのって言ったら、結局、受け取るもの受け取ってるんだけども、学校へまともに行っていない、これが見えてきたんですね。
要は、そこで気が付いたのが、「あ、これは結局、口では勉強したい学校行きたいって言ってるけども、行動が伴ってないから、それがもろに成績にあらわれていて、結果として学校に行ってないから留年するっていうこういう事態が起きている」。決定的な証拠はつかんでいないんですけど、下手をすると、物資が入る事によって、そういうものをたたき売ってお金にして、ご飯食べてた可能性があったんですね。要は、そういうレベルの人たちまで対象にして奨学金のへったくれのって言ってても意味がない。それじゃあ、奨学生を一定の基準に基づいて選抜しましょうかということで、成績をきちっと査定するようにして、家庭の状況見るようにして、組み替えたのが今のシステムの基本。それをやったのが2001年から2002年かの話です。それ以来、基本的には同じシステムで進めています。
価値観や文化の違いがある中でどのように関わっていくべきか?
これに関しては、今の時点で結論めいたことは言えない。でも一つ言える事は、今の世界の流れの中で日本はある意味先頭的な立場にいるから経済的なことやその他諸々なところで成功している部分はある。一方、それに対してフィリピンは遅れをとっている(その流れに沿っていない)。それがいい事とか悪い事とかは別なんですが、やはり、現状、それによって、支障を来している問題もいっぱいある。そこで、こっちが一方的に押し付けるのではなく、そういうのを積極的に吸収したいと言っている人たちに入れる事は間違いではないと思う。問題意識とか、まったく無い人たちに、こんな事やっててダメじゃない!って強制的にいうのは行き過ぎだし、意味がないけれど、少しでも、フィリピンの現状に疑問を感じていて、日本のやり方に興味を持ってくれて、教えてくれっていう人に、その機会を設けるのはいいと思う。あるいは、もうちょっと弱いアプローチとして知識として教える事。これは、その知識をどのように生かしていくかは相手次第なんですよね。要は、向こうから何かが上がってきている場合に関しては、良いんじゃないですかね。基本的には押し付けにならないようにってことですよね。

今までのFESTの活動を見てきて、率直な感想をお願いいたします。
みなさんほんとよく頑張ってると思うんです。ていうのは、僕らが全然踏み込めなかったところにみなさんよく踏み込んでいって、色んなものを掴んでいらっしゃる。とっかかりとしてね、レズウィーとその家族っていうものをご紹介できたのは本当によかったと思っているんですけど。その先ね、皆さん当然結果は出したいと思うんですよね。でもね、結果なんてそんなに簡単に出るもんじゃないと思うんですよね。そんなに簡単にでるものであれば、この国はこんな風になってないんですよね。だから僕が思うのは、とにかくやりたいようにやればいいと思うんですね。ただその出てきたものをちゃんと分析して、それを糧にして次に進むとか、あるいは、皆さんが在籍しているその期間というのは大学だったら4年間ですよね。あまりにも短いと言ったら短いんですよね。だから、出てきたものをちゃんと後に残していけるか。で、次の人がそれを生かしていけるか。そこをきちんとやっていただけたら、先々いいものになるんじゃないかな、という気がします。

最後に学生にメッセージをお願いします。
今僕がずっとそのお話したことは全て皆さんに対するメッセージなんですね。それをちょっと要約しちゃうような形になるかもしれないんですけど、皆さんのその若い感性とかで、いま現役バリバリでその勉強をされている。そして、いろんなことを吸収してる。そういうのがね、もう僕らみたいな歳になってくると、かたまっちゃってるんですよね、これが良いと思ってずっとやってきたんだけども、本当にそれがいいのかどうかももう今わからないことがいっぱいあるぞっていうのが正直なところ。
でも、皆さんはすごくやっぱり新鮮な切り口で物事が見られるし、で、ここへポって入って来ていろんなその違和感とか疑問とかを持たれる。皆そういうのがほんと宝だと思うんですよね、そういうのに基づいて何か行動を起こす、で、結果何か生じました、これもうすっごい皆さんのその人生の糧になるはずなんですよね、だからもう、なんていうのかなカチーンとね、こうしなくちゃいけない、絶対これは成功しなくちゃいけないってこうがちがちにならないで、柔らかくとらえていただきたい。
当然何かこうしたいっていう目標は設定しなくちゃならない、ただ、それに基づいて、行動を起こして、結果として生じたものを、その過程で吸収していくものが絶対に大事なので。教科書には絶対書かれていないことなので、そういうのをどんどん吸収していって将来役に立てていただければな…!そういうのが将来おそらく日本のためにもなっていくんじゃないかな、っていう風に思うんですね。まあだから、自由に元気よく頑張ってください。
ありがとうございます。
September 2013